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代表者のブログ

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ZAPPOS WHO?  ザッポスとは何者か 0

今、ロサンゼルスにいます。一昨日私がコーディネイトする研修ツアーでラスベガスでザッポス本社を訪問しました。2時間に満たない滞在でしたが、私もその前後に詳しく解説しましたので、今回の研修参加者の皆さんはザッポスに対して理解を深め、ザッポス体験をすることが出来たと思います。
ザッポスは今、最も勉強になる企業の一つです。
そこで知らない人もいるでしょうから少しザッポスについて解説しましょう。

ザッポスは10年程前に創業された靴のオンライン販売企業です。
ザッポスとして成功を収めた後、現在はアマゾンに買収されています。
でもザッポスの経営体制はほぼそのまま維持されています。トニーシェイを中心にした経営体制が素晴らしいからです。

そのトニーシェイ(台湾系アメリカ人)が創業者です。彼はフェイスブックのザッカーバークと同じくスタンフォードの出身で学生のころに起業したのも同じです。確か現在38,9歳だったと思います。

ザッポスの特徴はウェブサイトを見ればわかります。
http://www.zappos.com/

まずトップページから始まってどのページを開こうが左上の一番目立つところにカスタマーサービスの電話番号が乗っています。
普通のオンライン販売企業は電話番号にたどり着くのが大変なのは皆さんお分かりですね。最低5回はクリックしないといけないと言います。

要はオンライン販売企業は顧客と話したがっていないのです。お客とのやり取りをコスト、面倒、やっかいな事、と考えているのです。
だからどこのオンライン企業もコールセンターの担当者は短時間にどれだけ沢山のお客を処理したかが、問われるのです。即ちどれだけ早く電話を切るか、という事です。

ザッポスのお客との最長通話記録は昨年トニーシェイの「ザッポス伝説」を読んだ時に7時間とありましたが、現在は8時間超になっています。

ザッポスではコールセンターは「カスタマーロイヤルティーセンター」と呼ばれ、最も重視されている部門です。電話による注文は全売り上げの5%程度ですが、コールセンターに大変なコストをかけています。

何故なら、電話が唯一顧客との人間的なアナログでの接点だからです。そしてすべての顧客は一度は電話してくるものだ、という事をザッポスが理解しているからです。
その一回の顧客との接点を顧客との人間的つながりを深める、生涯のザッポスファンになってもらう機会として考えています。

ザッポスのミッションは「幸せを配達する」(Delivering Happiness)です。トニーシェイが去年のエイプリルフールに「ディズニーを訴えてやる」というジョークをツイターで飛ばした話が話題になりました。
ディズニーランドが「地上で一番幸せな場所」とキャッチフレーズにしているには問題がある、ザッポスこそそれにふさわしい場所だ、というのがその趣旨ですけれど、上記のザッポス伝説を読むとこれが冗談に思えない彼らのやっている事のすごさが判ります。
アップルはアイフォンでフェイスブックはSNSで世界を変えましたが、同様にザッポスも靴のオンライン販売で世界を変えている会社なのです。

以下簡単にザッポスの事を箇条書きで紹介しておきます。興味お持ちなら本を読んでみて下さい。

ザッポスとは何者か
① 返品の送料も無料、365日間OK。交換希望があれば交換する商品を先に発送する会社。
② カスタマーサービスでベストになりたかったからドロップシップ(メーカーによる直送)をやめ、何百万のアイテムを扱えるフルフィルメントセンター(物流センター)を作った会社。
③ コールセンターはカスタマーロイヤルティーチームと呼ばれCFOであれ、法務担当役員であれ全員がカスタマーロイヤルティーチームを体験する会社。しかも4週間。
④ ソーシャルネットワーク戦略の先駆企業、クチコミを最も有効なマーケティング手段とする会社。
⑤ コールセンターの最長通話記録が8時間を超える会社。
⑥ 顧客の信頼と愛を勝ち取り、サービスで「ワォ!」を提供する会社。
⑦ 楽しく仕事が出来て社員を家族のようにする会社。

ザッポス体験とは何か
以下ザッポスの社員が語るザッポス体験とはなにかというコメントを数例紹介します。
① ザッポス体験とは顧客と従業員に正しく対応する企業文化の事を言います。
② 他人の為に正しい事をやろうとするのがザッポス体験です。
③ 一言で言えば自由。そして人のために何かやろうという気持ちこれがザッポス体験。
④ ただ商品を売るんじゃないんです。私はここが小売業だとは思っていません。ザッポス体験とは世界を変えたいと思う事です。ビジネスの世界で人とどう接するかという事なんです。
⑤ 主人が障害を持っていて、ここ数年で家族を亡くしました。会社に行って楽しむことが人生の支えなんです。

ザッポスが最も大事にしている事
そんなザッポスが最も大事にしている2つの事があります。
① ザッポスの中核理念である10のコアバリュー
1.サービスを通じて,WOW(驚嘆)を届けよう。
2.変化を受け入れ,その原動力となろう。
3.楽しさと,ちょっと変わったことをクリエイトしよう。
4.間違いを恐れず,創造的で,オープン・マインドでいこう。
5.成長と学びを追求しよう。
6.コミュニケーションを通じて,オープンで正直な人間関係を構築しよう。
7.チーム・家族精神を育てよう。
8.限りあるところから,より大きな成果を生み出そう。
9.情熱と強い意思を持とう。
10.謙虚でいよう。

② そしてこれらのコアバリューを行動様式として組織と個人の生活に定着させる企業文化です。

ザッポスがすごい本質的な理由
ザッポスが素晴らしいのは上記のコアバリューと企業文化の確立、浸透を通じて、社員のやる気、創造性を存分に引き出している、という事です。
やる気と創造性を引き出す秘訣は「内発的動機付け」(楽しい、成長実感がある、世のため人のために役に立っている)を重視することですが、これを自然に実行しています。
ちょっと簡単に解説します。
① 給与は決して高くない、親会社のアマゾンより25%低い。低い分は福利厚生と企業文化の維持に使われる。
② また上位職になればなるほど世間より相対的に給与は安くなる。創業者のトニーシェイの報酬は年36,000ドルでしかない。
③ ザッポスで働くことは何より楽しい体験である。
④ 成長できる会社 チャレンジと失敗から学ぶことを奨励されている。
⑤ 世の中、人のために役に立つことが出来る。「幸せを届ける」がミッション、使命。
⑥ 裁量権が社員に委ねられている。
⑦ 仕事と人生の一致。コアバリューは会社の中でのみ大事なのではない。プライベートライフにおいても信条化している。

どうでしょう。
これからの企業経営の在り方の良いお手本がザッポスです。経営者、経営幹部は是非ザッポスの事を勉強し、そして一度訪問してください。
ザッポスの子会社の「ザッポスインサイト」という会社が、ザッポス流の経営を普及させるための一種のコンサルティン活動をやっています。
今回の訪問もそのインサイトのスタッフが我々を案内してくれましたが、「私の方がうまく説明できるのになー」と思うことがしばしばありました。
だからここの訪問は私のコーディネイトが必須です。行きたい人は私に声をかけて下さい(笑)。
ザッポスだけではないこれからの経営を深く考えさせられる企業を訪問し、学ぶツアーを企画します。今期はもう二度ほどいけたらいいと思っています。

ロサンゼルス トーランスにて