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代表者のブログ

最近思った事、気がついた事

ソニーの不振の原因 1

以前フェイスブックにアップした記事がブログに転載できていなかったので、転載します。アップルの快進撃と比べてその凋落ぶりが対照的なソニーですが、その原因と想像していた事を裏付ける本が出たのが、この記事を書くきっかけでした。

私が思うソニーがダメになった理由はやたら英語を使う様になった事です。 英語をやたら使うようになったのは出井さんのころからで、やれアクティブインベスターだのeヘッドクォーターだのの英語の組織名がソニー社内に増えて行きました。

グローバリズムやガバナンスなどというのも随分怪しい概念ですが、それらを大義名分にした西洋型、アメリカ型の経営こそが正しい経営である、日本型経営は陳腐化している、こういう誤った思想が日本企業や日本の経営を蝕んできました。 それを政府として進めたのが小泉、竹中路線で、一線経営者では出井さんが代表的存在だったと言っていいでしょう。

今、同じ様な事をやっているのは楽天とユニクロです。 楽天はDeNAのベイスターズ買収の一件で同じIT企業であるのに一社のみ反対する狭量さを露呈しましたが、この会社の先行きを心配します。 さて、何故英語を使うとダメなのか、と言う事を別の角度で理解できる本をもう一つ紹介します。

元マイクロソフト日本法人社長の成毛さんがこの中で英語を公用語にした楽天、ユニクロをこきおろしています。

これらを読むと西洋型経営がダメなのは判りますが、それではどうするか? その解は日本型経営への回帰です。 記事追加) 私の記事に対してKanekoさんから 「iPodからiTunesに垂直拡大したアップルと、映画、音楽レーベル、ファイナンスとハードウエアを介して同じく拡大したソニー。片やモノづくりに情熱を注いで、その熱意が勢いあまって垂直拡大。片や効率よい収益に足元を見失い、非効率なメーカーとしての本質であるモノ作りの情熱が覚めた企業。今のソニーはトヨタに対抗でいなくなったGMとかフォードに似ているような・・・」というコメントを貰いました。

現象面ではその通りです。 でもその真因は「お金儲け」にフォーカスして、企業経営の目的や本来の姿、創業の精神を見失った事にあります。 こんなことをいうと企業経営の目的は「お金儲けじゃないのか」と言う人がいそうですが、勿論違います。

前にも引用しましたが、ドラッカーはこの様に述べています。 「われわれは経済発展が最高の目的であるとする信条を捨てなければならない。経済的な成果を最高の価値とすることをやめねばならない。それは数多くの価値の一つでしかない。経済的なことだけを目的とすることをやめるということにはもうひとつ意味がある。それは、人はみな経済人(エコノミック・マン)であり、人の行動の動機は経済的であり、自己実現は経済的な成功にしかないという考えを捨てることでもある。われわれは、人間とは何か、社会の目的は何かということを今一度考えねばならない。その上で自由で機能する新しい社会をつくりあげなければならない。それには新しい理念が必要だ。それは、哲学あるいは形而上学の中に見つけなければならない。」

経済発展、要は金儲けが最高の目的であるという信条を捨てよ、と言う事をドラッカーは言っています。 また、より端的にこの様にも述べています。 「最近のビジネスマンは、利益とは何かをきちんと説明できない。利益によるモチベーションや利益を最大にすることが企業の目標である、といった事はすべてナンセンスである。利益によるモチベーションは、企業行動とは無関係である。また的はずれであり、企業経営に害を与えている。この考え方が利益への誤解と敵意をもたらしている。企業とは社会貢献を行うためにある。そしてその社会貢献は高い利益があって初めて果たせるのだ。」 (ドラッカー)

何故企業経営の真の目的にお金儲けを置いてはいけないのか?その事を判り易く解説してくれる本があります。 東京大学の高橋伸夫先生の「虚妄の成果主義」です。 この本の副題は「日本型年功制復活のススメ 」ですが、結局日本型経営が正しいのだ、という事が合理的、論理的に語りつくされています。

ソニーの創業の精神の核にはこの様な一節があります。 会社設立の目的  1 真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる理想工場の建設 1 日本再建、文化向上に対する技術面、生活面よりの活発なる活動 1 戦時中 各方面なに非常に進歩したる技術の国民生活内への即時応用 どうです?お金儲けが入っていないでしょう。この目的にまい進した結果、お金がついてくるというのがあるべき姿です。

前述の高橋先生の著作の「何故、成果主義=お金儲けの目的化がダメか」の結論は①「人間はお金でモチベートされない。人間を真にモチベート(動機づける)するのは「楽しい」「成長できる」「どなたかの役に立っている」という様な内発的なものである、という事。 ②そして、お金や社会的地位などの外発的な動機づけ要因はこれら内発的要因を阻害するからダメなんだ、という事です。 実際ソニーのこの創業の会社設立目的の中には、こういった内発的モチベーションを誘発する要素がちりばめられていますし、実際そのような企業活動が行われていたのです。

そのあたりはソニーの上席常務であり、CDやアイボの開発に多大の貢献をした土井利忠さん(ペンネーム天外 伺朗)の以下の著作にも詳しく書かれています。 スティーブジョブズもお金儲けのために仕事をしていなかったのですね。 ジョブズの志はソニーの創業者たちのそれと同質のものです。盛田さんや井深さんは勿論、大賀さんあたりまでソニーとアップルはその志に於いて共通項の多い企業だったと思います。 その志を一言で言うと「製品やサービスを通じて世界を変える、より良いものにする」という事です。こういった志で成功するのはソニーやアップルの様な技術系の製造会社だけのものではありません。

日本は勿論、世界中にその例はたくさんありますが、アメリカシアトルにはその好事例が大小二つあります。 一つはスターバックス。コーヒーで世界を変えました

もう一つはパイクプレイスフィッシュマーケット(1店舗経営の小さな鮮魚店)で、鮮魚販売で世界を変えています。

ソニーはその創業の志を忘れた出井さんからおかしくなりました。ストリンガーさんにはそういったDNAすらありません。これがソニー凋落の真因だと私は思います。 今日の結論です。 だから真に成功するには、お金儲けという目先の事にフォーカスするのでなく、自分が生まれてきた目的に沿った事、=それは自分が楽しい、と思える事、自分が得意な事、また自分を少しでも向上させてくれる事、更に世のため人のため、身近な人のためお役にたてる事、にフォーカスする事です。 これは企業経営は勿論、個人の人生においても当てはまります。 こういった事にフォーカスする時に最も長期的に安定してその意味では効率的にお金儲けもできるというのが本当です。